九谷焼作家 山岸 大成さん
登録日:2023年8月2日
神々の座「天叢雲」第9回日展(2022年)内閣総理大臣賞
神々の座「天叢雲(あまのむらくも)」について
自分たちではどうすることもできないような事柄、例えば天変地異、災害や異常気象など、どうにもできない場面に直面すると、人間は祈るしかありません。その時に、その祈るべき対象となるようなものを見つけるんです。それが石の場合もあるし、あるいは、草木など、もちろん月なんかもそうですよね。そういうものにも神の存在を感じています。祈りの対象としてそういうものをみんな持っているんだと思うんです。以前、伊勢神宮に子どもを初めて連れて行った時に、玉砂利の上を歩いて鳥居をくぐるまでは騒いでいたけど、鳥居のところで私たちが頭を下げて、中へ入って歩き出すと自然と静かになるんです。騒いだり走ったりしないんですね。あれはなぜなんだろうと思います。何かを感じているんでしょうね。
冬至の前後1ヶ月に見られる伊勢神宮内宮 宇治橋からの日の出
要するに自分たちの及ばないもの、古代の人たちがそうやって畏れ、そして崇めてきたものが何となくその場に“在る”のです。小さい頃から神様も知らないのに、何かを感じることがある。何だかわからない、力が及ばないものに対する畏れや崇め、祈りなどを汚れがなく静かで澄み切った感じがする白、この白磁で表現したいと思ったのです。月や太陽神を崇める人たちは世界にたくさんいますけど、太陽と同様に、あるいはそれ以上に様々なものを祈りの対象として感じているのは日本人ぐらいではないかと思うんです。だから、そういう気持ちや習性、あるいはその信仰に対する思いというか、神々の住む所、そういう象徴的なものを何か形にしたいという思いなんです。そういうことを考えながらものを作っています。
山岸 大成さん プロフィール
1956年 | 石川県能美郡(能美市)寺井町に生まれる |
1978年 |
金沢美術工芸大学美術工芸学部産業デザイン学科工芸卒業 |
「第10回 日展」初入選(以後連続入選) | |
1979年 | 「第18回 日本現代工芸美術展」初入選(以後連続入選) |
1980年 | 「第19回 日本現代工芸美術展」現代工芸賞 作品“浮上の景” |
1986年 | 「第42回 現代美術展」最高賞知事賞作品 “86-1” |
1988年 | 「第28回 日本現代工芸美術展」審査員(以後9回) |
1989年 | 「第45回 現代美術展」審査員(以後12回) |
1990年 | 「第22回 日展」特選 作品 “時空の景” |
1996年 | 「第28回 日展」特選 作品 “風のSCENE” |
「第35回日本現代工芸美術展」会長賞作品“風の景” | |
1997年 | 現代工芸美術家協会 評議員就任 |
1998年 | 「セラミックアート国際ビエンナーレ(98」推薦作家部門賞・ |
ANA賞作品“時空遥かなり” | |
1999年 | 「第31回 日展」審査員(以後7回) |
2007年 | 日展 評議員就任 |
2008年 | 「第47回 日本現代工芸美術展」文部科学大臣賞作品“出雲” |
2012年 | 現代工芸美術家協会理事、現代美術展 運営委員長、就任 |
「第51回 日本現代工芸美術展」内閣絵理大臣賞 作品“神々の座” | |
「第1回 ベストセレクション 美術 2012 展」選抜/ 東京都美術館 | |
2014年 | 北國文化賞 |
2015年 | 金沢駅コンコース陶板制作 |
2018年 | 石川県立中央病院エントランスホール陶壁制作監修 |
2019年 | 日展 特別会員 |
2020年 | 「特別展 / 工藝美術2020 -自然と美のかたち-」 |
選抜 / 東京国立博物館 表慶館 | |
「改組新第7回 日展」東京都知事賞 作品“神々の座 那智” | |
現在 | 日展特別会員、現代工芸美術家協会理事、石川県陶芸協会会長、 |
石川県美術文化協会事務局長 |
お問い合わせ先
市長室 広報広聴課
電話番号:0761-58-2208 ファクス:0761-58-2290