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九谷焼作家 山岸 大成さん

登録日:2023年8月2日

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令和3年2月に香林坊 大和で開催された、色絵磁器 山岸大成の世界展のパンフレットに掲載された作品「松韻」(39.0×35.0×13.0)をもとに説明をしてくれる山岸大成さん

 

伝承していかないと、伝統は続かない。

 残せるものが残っているということは、自分の作りたいものを作るということの他に、もう一つの自分に対する役割だと思うので、それもやっていかなくちゃいけないだろうなという思いも最近強くなっています。九谷っていうものを後へ繋いでいくことが必要だと。絵付けも一つの役割というか、自分は作品として絵のないものばかりを作っていても駄目だと思っています。やはりこれまでずっと繋がってきたものを後世に繋いでいきたい。その時に、例えば松にしても文様にしても、白だけの作品の中に入れてもできるということを、伝えていく役割があると思っています。
 昔の人も色々なものをやってきてみたんですね。だから今日までいろいろな技法も生まれてきたし、いろんなかたちのものに九谷をどんどん生かしていけるんだということを私たちにちゃんと伝承してきたんです。やはり伝承していかないと伝統は続かないですね。突然できるものではないんですね。ほら僕も子どもの時、親父に行きたくもない美術展に連れて行かれたこともありましたし(笑)
 

2-02

石川県立九谷焼技術研修所での講義風景

  

 うちの息子も陶芸をやってますけど、息子も体育系だから家の中にこもってないで外へ飛び出している方が好きなんです。それでもやっぱり「やってみるか」と思って、彼も渋々美大へ行っていたので、今でも時々「俺、こんなこと一人でやっているより、人の中に混ざってするような、会社員でも工場勤務でも何でもいいから、そっちの方が絶対向いているよ。こういうこもってするような仕事はやりたくないって」って言いますよ。(どこかで聞いたセリフですけど)
 でもまあやってくれているということは、やっぱり何となくでも「繋いできたものを自分でも繋いでいくのもいいかな」という気持ちをどこかに持ってくれているんでしょう。ありがたいなと思ってます。まあ、いつやめるかわからないところはありますが(笑)


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父とは違う存在感の山岸 青矢さん
 


2-04

山岸 青矢 作 方壺 南天「福をなす」磁器(20.0×8.0×8.0cm )
「美学の系譜」山岸家5人展より

 

 最初にこの九谷の色を作った人はすごいなと思いますし、それからいろいろな技法がありますよね。自分の技法を生み出してきた人たちもすごいなと思います。
 私の先祖が恐らく薪を担いで大八車などに積んで運んでいたときに焼き物を見て、楽しそうだからやってみようかなと思わなければ、私もこの仕事はしていないわけです。九谷の歴史をみると、古九谷は360年くらい前、その後1700年代後半から再興九谷として立ち上がっています。それでも250年ぐらいなので、そんなに歴史が古いわけではないです。この寺井という町は、多い時には300人くらいの人がやっていたと言われています。明治から大正の初めにかけて、九谷庄三の門弟が200人以上いたと言われていますが、今、この寺井で筆を持ってやっている人はもう10人足らずです。そう思うと30分の1ぐらいですね。昭和中頃の作れば何でも売れた時代に、技術が不十分でも簡単に稼げたっていうことが、のちのち響いてきたのだと思います。
 

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「飛鳥」(16.5×18.0×23.5cm)「美学の系譜」山岸家5人展より

2-06 

「祈りの座 高千穂」 「美学の系譜」山岸家5人展より

 


 

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