ユン テイ クイン フン(Dương Thị Quỳnh Hương)さん
登録日:2024年6月20日
したいこと、能美市だったら叶うかも
ユン ティ クイン フンさん
能美市を愛するベトナムの人。
来日前はベトナムのホーチミン市で日本語学校を経営していました。ベトナム人の主人が以前に能美市内で働いていたことがあり、また能美市で暮らしたいという強い思いがあったので、一緒に移住することになりました。能美市には2017年から住んでいます。能美市の自然に魅了されて、周りの人々もみんな親切で能美市に住みたいと思いました。能美市の外国人コミュニティリーダー養成講座を受けて防災や福祉、法律を学びました。現在は、在住ベトナム人への情報発信や生活相談の窓口をしています。また、夏は海岸掃除、冬は雪かきができる人の募集も行っています。そして日本の方には、ベトナムの文化や食を紹介しています。そして、ベトナム人が多く働いている能美市で日本人と外国人が集まって交流できるカフェを作りたいと思い、能美根上駅の近くで「ベト風味」というベトナム料理のカフェを開きました。
ホーチミン市で日本語学校を経営していた頃
能美根上駅の近くにあるカフェ「ベト風味」
ベトナムの食。
ベトナムは南北にとても長い国です。北部にはハノイ市があり、世界中から観光客がたくさん訪れます。中部はホイアン市を中心としてユネスコの世界遺産がたくさんあります。南部にはホーチミン市があります。私の出身地です。アジアのパリと言われています。
左上:ベトナムの地形 右上:中部ホイアン市 左下:ホーチミン市はベトナムで最も人口の多い都市(2025年の推定人口は約981万人)右下:「ベト風味」のフォー


「ベト風味」の焼肉ブンと生春巻き
ファストフードで有名なのが、バインミーです。バゲットにバターを塗り、ベトナムのハム、パクチー、なますを挟み、チリソースをかけたサンドイッチです。
お店でもハムや焼肉などいろいろなバインミーが楽しめます。

「ベト風味」のバインミー
日本と食文化は違いますが、ベトナムにもいろいろな食器があります。ベトナムの陶器はとても歴史が古く北部と南部で様々な種類があります。
左:北部の陶器「バッチャン焼」 右:南部の陶器。民族的影響を受けて装飾密度が高い
ベトナムの陶器文化は非常に豊かで、地域によって大きく異なる特徴を持っています。特に北部と南部では、自然環境、歴史的背景、民族的影響の違いから、それぞれ独自のスタイルが発展しています。
北部の陶器の主な産地バッチャンはハノイ近郊にある陶磁器の名産地で、600年以上の歴史があります。陶土は紅河(ホン川)流域から採れる上質な赤土が使われ、焼き上がりは滑らかで堅牢です。伝統的には白地に藍色(コバルト)で描かれた文様が主流。最近では緑釉、赤釉、黄釉なども使用されています。
装飾モチーフは龍、鳳凰、蓮、竹など縁起の良いもので、仏教や儒教の影響を受けた伝統柄が主流です。技法は手描き絵付けが主で、繊細な筆致が特徴。一部に転写技術も導入されていますが、工芸品としての価値を重んじる傾向が強いようです。まさに伝統と技巧の粋と言えるでしょう。
南部の陶器の主な産地はビンズオン省、ソクチャン、ホーチミン周辺です。陶土の性質は北部に比べて砂分の多い土が使われることが多く、焼成後はざらっとした風合いが特徴です。色調と釉薬は赤土に釉をかけない素焼き風のものや、黒釉、褐色釉が多く、自然な焼きムラや炭化焼成による表情を重視しています。装飾と形状では花瓶、壺、大壺など装飾性の高い造形が特徴で、彫刻的な浮彫り装飾、幾何学文様も多く見られます。
民族的影響としてクメールやチャムなどの少数民族の伝統が反映されており、形や文様に独特の力強さがあります。
フランスを介した東アジア陶磁器の受容と流通
フランスは19世紀以降、東洋陶磁を強く収集・評価した国の一つです。九谷焼(特に輸出用の「ジャパンクタニ」)は19世紀後半〜20世紀初頭に、ヨーロッパ、とりわけフランスやイギリスなどで人気を博しました。同じ時期、ベトナムはフランスの植民地であったため、フランスを介して「東洋陶磁」全体への関心やスタイルが共有される可能性はありました。特に装飾的な金彩・多彩色絵など、九谷焼のような「華麗な彩色陶磁」は西洋美術の文脈で好まれ、それが間接的にベトナム南部の陶工に影響を与えた可能性は考えられます。これは「東アジア→ヨーロッパ→インドシナ」という、環状的・間接的な文化伝播の好例とみなすことができます。
南部ベトナム陶器と九谷焼の美的比較

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