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九谷焼作家 山田 義明さん

登録日:2023年8月2日

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歩いた経路が記された能美市の地図


メタボ大作戦

 私が還暦の年のことです。市の健康診断でメタボと言われ、減量を余儀なくされました。ちょうど能美市で健康促進のために、メタボ撲滅作戦が行われていたのです。万歩計などが支給され、担当の保健師さんが色々アドバイスをくれました。
 それから私のメタボ撲滅大作戦が始まりました。万歩計は肌身離さず、とにかく歩くことを心がけました。何しろやり始めたら一生懸命!!けれど、ただ歩くだけでは面白くないので、考えたあげく、神社巡りをすることを思いつきました。
 思いついたら、即、実行です。まず、市の土木課に行って畳一畳分の能美市全体の地図を買ってきました。(現在もまち整備課で300円で購入できます)家から歩いて能美市全域の神社巡りを計画したのです。能美市は東西に長く、南北に短い長方形の地形です。人口も5万人弱で面積もそれほど広くありません。また、うまい具合に私の住んでいるところは、市のちょうど真ん中に位置しているのです。始めに予行演習で桜が満開の時に、「桜ロード」と呼ばれる約10kmのソメイヨシノ2,000本の並木道をそれは気持ちよく、往復で21kmを歩くことができました。それで自信を持ち、5月から9月にかけて土日を利用し6回で市内72社をすべて参拝したのです。ただ、桜ロードの時は4月で気候も良かったのですが、神社巡りの時は、7〜8月の炎天下の中、大の苦手とするヘビが出たり、蚊に刺されたり、とても大変でした。合計歩数約240,200歩、合計距離約137km。1日の最大歩数約50,600歩、最長距離約30kmでした。
 一年後の健康診断当日、結果は3ヶ月で9kg減を達成!保健師さんに大変褒められ、それは、それは、嬉しく思いました。まさに「したいこと、能美市だったら叶うかも」 


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地図の横に記された距離と歩数。4月の21kmから9月には30kmまで延びている。

 

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KAM 能美市九谷焼美術館|五彩館|に常設展示されている「赤絵金襴手花鳥風月図壺」


ジャパンクタニと牡丹苑

 2013年(平成25)、私がKAM能美市九谷焼美術館|五彩館|作家友の会の役員の時にジャパンクタニ再興プロジェクトを立ち上げました。文化庁から補助金をいただき、高さ1メートル超えの赤絵の大花瓶一対の製作を企画しました。絵付は故・澤田富雄氏で、当時78歳でした。3年がかりのプロジェクトで一本の花瓶に対し8回も窯に入れるという大変な作業でしたが、彼はそれを完璧にやり遂げてくれました。無事2本の花瓶が焼き上がった時は、本当に感動しました。その花瓶は2015年の東京駅ステーションギャラリーで開催された「九谷焼の系譜と展開」に出品され、当時の天皇皇后両陛下にご高覧を賜りました。
 現在はKAM能美市九谷焼美術館|五彩館|に常設展示されています。
 

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赤絵花鳥人物図大壺一対(海を渡ったジャパンクタニ)
素地:新道外志明
絵付:澤田富雄

“ジャパン・クタニ”とは、明治時代以降に欧米各国で隆盛した日本趣味的な流行=ジャポニズムの中で、輸出陶磁器として九谷焼が世界1位になるに及んで呼称されたものです。日本を代表する陶磁器、といった意味で“ジャパン”の名を冠しており、パリには九谷焼の店舗も開業されたほどです。そのデザインは、赤と金を多用した「金襴手」、または「赤絵」と称されるジャンルのものが主流でした。多くは左右一対で作られ、大型の壷や花瓶、ランプ台などが盛んに輸出されました。
また、そこに描かれたモチーフは、花鳥や山水、鶴・色や龍・鳳風といった九谷焼本来のあでやかな題材も勿論ですが、特にこの時期に人物画が流行したことは特筆すべき点です。歴史上の人物や仙人、華やかな装束をまとった女性の姿や、愛らしい子どもの図など、現代では描き手が減ってしまったジャンルがもてはやされた時代でした。
能美市は、その産業の中心地として栄えてきました。絵付け職人はもとより、作品のプロデューサー的な立ち位置にあった卸問屋が支店を拡大し、横浜や神戸などから世界各国へと販路を拡大していったのです。 


 また、作家友の会の行事として|五彩館|横に牡丹を植える「牡丹オーナー制度」を立ち上げました。能美市は福島県の須賀川(すかがわ)市と深い関わり注:があり、牡丹の産地である須賀川市から牡丹の苗木を取り寄せました。牡丹は水はけの良いところを好みますが、このあたりの地は粘土層で水はけが悪く四苦八苦しています。けれど、私の友人たち7、8人が常にボランティアとしてサポートしてくれます。本当に感謝しています。今後は若い人たちのサポート隊も待ち望んでいます。
 

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牡丹の写生をする石川県立九谷焼技術研修所の生徒たち

 
注:石川県能美市はウルトラマンシリーズの脚本家、佐々木守氏の故郷ですが、福島県須賀川市はウルトラマンシリーズの監督である故・円谷英二氏の故郷であることから「すかがわ市 M78 光の町」と題したまちおこしを展開しています。 

 


 

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市長室 広報広聴課

電話番号:0761-58-2208 ファクス:0761-58-2290