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根上松

更新日:2022年3月25日

neagarimatu

 根上松(ねあがりまつ)は、高坂(たかさか)・根上(ねあがり)町にある通称「根上り山」の尾根の頂上付近に生える樹齢120年を過ぎた黒松である。鎌倉・室町時代の資料である『源平盛衰記(げんぺいじょうすいき)』や『義経記(ぎけいき)』などには源平ゆかりの地として登場し、現在の松は、明治時代に書かれた『皇国地誌(こうこくちし)』に記載の「根上松」の後継木といわれている。

 現在の根上松は、龍がとぐろを巻いたように、樹根が地上より約60cmほど隆起した非常に特異な樹形であり、旧「根上町」の町名の由来となった。砂丘地に生育している松の根元の砂が風のため飛び散り、次第に松の根が地上高く現れた状態で、美観的にも優れた黒松である。

 『源平盛衰記』では、寿永2年(1183年)5月、加賀の武士井家二郎範方(いのいえじろうのりかた)が17騎で、10万ともいわれる平維盛(たいらのこれもり)軍の大群と11度にわたる合戦の末、根上松周辺で討死にしたと伝わっている。源義経の一代記である『義経記』では、「根上松に着き給う。是は白山権現に法施(ほっせ)を手向くる所なり」とあり、文治3年(1187年)3月、安宅の渡しを通過した義経一行が白山を遠望したと伝えており、古の源平時代を想起させる史跡である。

 周辺からは現在も白山の美しい姿を見ることができるが、中世の資料で既に紹介されていることから、古くからの景勝地だったと考えられる。

 また、社殿などは残っていないものの、明治41年(1908年)刊行の『加賀国式内等旧社記(かがのくにしきないなどきゅうしゃのき)』に「根上松白山神社、(中略)、此地往昔(おうせき)白山神社遙拝(ようはい)之地也」と記されている。

 根上松周辺は、早咲きの大漁桜など7種類の桜が植樹され、「高坂・根上町緑を守る会」が中心となって、園路の清掃を行っており、市民憩いの場となっている。

 

樹高平均 約14.0m

目通幹周 0.86m

樹齢推定 約120年

枝幅 東5.0m、西2.0m、南5.3m、北4.5m

根幅(表出) 東3.4m、西1.0m、南1.5m、北3.5m

地図情報

能美市指定史跡「根上松」駐車場

能美ふるさとミュージアム
〒923-1121 能美市寺井町を1-1
電話番号:0761-58-5250
ファクス:0761-58-5251