榎
更新日:2023年3月17日
古くから福島(ふくしま)町の「福島の榎(えのき)」として親しまれ、福島日吉(ふくしまひよし)神社の境内にある大木である。
樹齢200年を超え、石川県でも巨木に選ばれ、根元から約1mのところで2幹(かん)に分岐した立派な樹形をしている。海岸防砂林(ぼうさりん)として、海岸に黒松が植栽される明治以前までは、日本海で漁をする船から見えたといわれ、福島町のシンボルである。
福島日吉神社は、元々2社あった日吉神社を明治35年(1902年)に、更に同45年(1912年)2月に濁池八幡(にごりいけはちまん)神社も合祀(ごうし)した。そのため、八幡神社の祭神である応神(おうじん)天皇・神功(じんこう)皇后・比咩大神(ひめおおかみ)を祀っている。当初、榎は神社の境内外にあったが、それを含むように明治以降2度、敷地が拡張された。
昭和17年(1942年)頃まで、神社の左右に立つ2本の榎の大木が威容を誇っていたが、現在は参道右側の1本のみが残っている。参道左側にあった1本が伐採された経緯は、太平洋戦争の際に木造船を建造するためとも、枯死(こし)したためともいわれており、定かではない。
榎は、ニレ科に属する落葉樹で、樹高20mを超えることもある。卵形の葉は3本の葉脈が目立ち、左右不対称なのが特徴で、10月頃に径7mmほどの小さな赤い実をつける。
福島日吉神社の神域を示す貴重な大木である。