荒屋古墳群
更新日:2022年9月16日
松が岡(まつがおか)にある荒屋古墳群(あらやこふんぐん)は、北方に加賀平野を望み、国指定史跡能美古墳群の南東にあたる能美丘陵の先端部分にある。標高45m前後に分布する古墳時代前期から後期にかけての古墳群である。
昭和62年(1987年)の土地区画整理事業に伴い、分布確認調査・発掘調査が行われ、南側のA支群では径26mの8号墳を最大とし、円墳8基と方墳6基の計14基が尾根上に並ぶように確認され、北側のB支群では径10m前後の円墳8基が確認された。
A支群は、以前から方墳群の存在が知られていたこともあり、史跡公園として整備された。一方のB支群は、戦前から畑地として使用され、円墳には埋葬施設が無く、周溝(しゅうこう)のみが確認されたことから、記録保存後、宅地化された。
史跡公園となったA支群では、丘陵頂上部の平坦地を中心に、尾根づたいに北側の方墳と南側の円墳群が、コの字状に配置されて築かれている。
円墳の周溝から須恵器(すえき)・土師器(はじき)が出土しており、その特徴から円墳群は5世紀後半から6世紀前半にかけて築造されたと考えられる。一方、調査で方墳群から出土遺物は確認されなかったが、墳形から古墳時代前期の4世紀の築造と推測される。
方墳が集中する古墳群は、能美市内でも荒屋古墳群のみであることから、墳形や時期の異なる古墳が隣接して築かれている貴重な史跡である。