下開発茶臼山9号墳出土品
しもかいはつちゃうすやま9ごうふんしゅつどひん
更新日:2024年11月26日
下開発茶臼山(しもかいはつちゃうすやま)9号墳は、5世紀前半に造られた直径約17mの円墳で、南北に並ぶ2つの埋葬施設から多くの副葬品が出土した。
なかでも玉類は、翡翠(ひすい)・瑪瑙(めのう)・ガラス・緑色凝灰岩・滑石といった様々な材質が用いられており、色鮮やかな品々で構成されている。また、儀礼用と考えられる竪櫛(たてぐし)は、2つの埋葬施設から合計で約175枚も出土しており、1基の古墳としては全国で2番目の出土量を誇る。さらに、第2主体部から出土した竪矧板革綴衝角付冑(たてはぎいたかわとじしょうかくつきかぶと)は、胴巻板を持たない一段構成の特殊形式で、革綴製品としては全国でも2例しか出土していない稀少品である。三角板革綴短甲(さんかくいたかわとじたんこう)と合わせて、加賀地方では最も古い甲冑の副葬例としても注目できる。
これらの出土品は、北陸地方の古墳副葬品のなかでも、質・量ともに際立っており、それらを用いた儀礼の様子からも、本墳の被葬者と畿内中央政権とが強い結び付きを持っていたことを今に伝えるなど、能美の古墳時代史を語るうえで欠くことのできない重要な考古資料である。