西任田町(にしとうだまち)

脈々と流れるしろこだの水　安全、安心で心豊かに暮らせる町

　日本ガイシ(株)石川工場や(株)PALTAC北陸支社などが立ち並ぶ能美工業団地の南側、豊かな田園に囲まれるようにして西任田町の集落があります。現在107世帯364人が暮らすこの町を町内会長の吉田さんに案内してもらいました。

　「西大御神社(にしおおみ)の神明七福(しんめい)の松は見たことあるかな。県内でも珍しい松なんですよ」吉田さんの言葉に心引かれ境内に入ると、複数の松が並んでいました。その根元は連なりながら地表に浮き出ており、複雑に絡み合う様は神秘的。守っていけるように町で手入れをしているそうです。神社には数多くの絵馬が奉納されています。中には1830年代の品があり、これは年代がわかる絵馬の中では市内で一番古いものだといいます。

　町の北側に行くと、公園がありました。ここでは「しろこだの水」と呼ばれる湧き水が出ています。「ここの水はおいしいから町外の方もくみにきている」と吉田さんが教えてくれました。毎年お盆の墓参りに合わせ、しろこだの水を使った「流しそうめんフェスティバル」が開催されています。

　フェスティバルの写真が掲載された公民館報をめくると、子どもからお年寄りまで、家族、親戚そろって楽しんでいる様子が載っていました。他にも、防災訓練やふれあい福祉運動会などが紹介されており、寄稿された文を読むと、ふるさとを大切にし、安全で心豊かな町にしていきたいという町民の思いが伝わってきました。しろこだの水のように脈々と続いてきたふるさとに対する深い思いは、これからも引き継がれていくのだろうと思いました。

開けた場所にある湧水地「しろこだの水」。昭和55年まで西任田簡易水道の水源として利用されていました。東南には白山が見えます。

(広報のみ2018年4月号より)