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山家心中集

さんかしんちゅうしゅう

更新日:2024年11月26日

山家心中集書影

 新古今和歌集に優れた歌を多く残した歌人西行(さいぎょう。1118年生~1190年没)の私歌集である。

 西行は、初め佐藤義清という名で、北面武士として鳥羽上皇に仕えたが、保延6年(1140年)に23歳の若さで出家し、法名を円位、後に大宝房・西行と号した。出家後の26歳頃から諸国漂浪の旅にあること50年間、自然を放浪し、自然に対する愛によって幽玄の境地を得て、いかに生きるかを歌で表現している。建久元年(1190年)に73歳で没するまで、「山家集(さんかしゅう)」「聞書集(ききがきしゅう)」「聞書残集(ききがきざんしゅう)」「山家心中集(さんかしんちゅうしゅう)」など多くの歌集を残す優れた歌人であった。

 本書は鎌倉初期の書写と思われ、異本山家集系から抜粋した特異なものである。「山家心中集」の中でも最古の写本とされ、流布本の「山家集」に比べ、収載歌数は半分に近い。

 なお、表紙には銀砂子を霞状にまき、金切箔を散らし、見返しは銀切箔を散らしている。奥書は無く、平仮名まじりの和歌が書かれ、筆致は実に流麗で、濁りのない暢達(ちょうたつ)な線質と鋭く厳しい転折が、力強く書かれている。

 

紙本墨書。3帖

縦16.4cm×横15.3cm

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