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山家心中集

登録日:2020年3月11日

山家心中集書影

 山家心中集は、新古今和歌集に優れた歌を多く残した歌人西行(1118年生~1190年没)の私歌集である。

 西行は、初め佐藤義清という名で、北面武士として鳥羽上皇に仕えたが、保延6年(1140年)に23歳の若さで出家し、法名を円位、後に大宝房・西行と号した。出家後の26歳頃から諸国漂浪の旅にあること50年間、自然を放浪し、自然に対する愛によって幽玄の境地を得て、いかに生きるかを歌で表現している。建久元年(1190年)2月16日に73歳で没するまで、「山家集」「聞書集」「聞書残集」「山家心中集」など多くの歌集を残す優れた歌人であった。

 本書は鎌倉初期の書写と思われ、異本山家集系の本から抜き書きした特異なもので、「山家心中集」の中でも最古の写本であろうといわれ、流布本の山家集に比べ、収載歌数は半分に近い。

 なお、表紙には、銀砂子を霞状にまき、金切箔を散らし、見返しは銀切箔を散らしている。奥書はなく、平仮名まじりの和歌が書かれ、筆致は実に流麗で、濁りのないのびのびした線質と鋭く厳しい転折が、力強く書かれている。

紙本墨書。3帖。縦16.4cm、横15.3cm

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