「能美」銘墨書土器
「のみ」めいぼくしょどき
登録日:2019年4月1日
出土した小長野(こながの)C遺跡は、小長野町に所在する平安時代前期を主とした遺跡で、近接する高堂(たかんどう)遺跡・中ノ庄(なかのしょう)遺跡とともに、能美郡家(ぐうけ)関連遺跡とみられている。
この土器は、遺跡の縁辺にある河道底から大量の墨書土器と共に出土したもので、須恵器の盤の底部外面に「能美」の文字が墨書されている。年代は、その特徴や他の出土遺物の年代から、平安時代前期の9世紀中頃とみられ、弘仁14年(823年)の加賀国立国・能美郡誕生から、間もない時期のものとみられる。
現存する「能美」の地名の文字資料としては最も古く、「能美」の地名の起源や古代能美郡成立期の様相を探るうえで貴重な資料である。