平成29年度から適用される個人市民税・県民税の税制改正
登録日:2019年4月1日
1.給与所得控除の見直し(上限額の引き下げ)
給与所得控除の上限が適用される給与収入1,500万円(控除額245万円)を「平成28年分は1,200万円(控除額230万円)、平成29年分以後は1,000万円(控除額220万円)に引き下げる」こととされました。
2.日本国外に居住する親族に係る扶養控除等の書類の添付等義務化
日本国外に居住する親族(国外居住親族)に係る扶養控除等の適正化の観点から、所得税の確定申告や個人市民税・県民税の申告等において、国外居住親族に係る扶養控除・配偶者控除・配偶者特別控除・障害者控除(16歳未満の扶養親族含む)の適用を受ける者は、「親族関係書類及び送金関係書類を添付または、提示をしなければならない」こととされました。
(注1)給与等の年末調整や公的年金受給者が、国外居住親族に係る「親族関係書類及び送金関係書類」を扶養控除等申告書に添付又は提示している場合は除く。
(注2)16歳未満の扶養親族を有するもので、個人市民税・県民税の非課税限度額制度の適用を受ける者も含む。
「親族関係書類」とは、次の(1)又は(2)のいずれかの書類(当該書類が外国語で作成されている場合には翻訳文を添付しなければならない)で、国外居住親族が納税者の親族であることを証するものをいいます。
(1) 戸籍の附票の写しその他の国又は地方公共団体が発行した書類及び国外居住親族の旅券(パスポート)の写し
(2) 外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類(国外居住親族の氏名、生年月日及び住所又は居所の記載があるものに限る。)
「送金関係書類」とは、その年における次の(1)又は(2)の書類(当該書類が外国語で作成されている場合には翻訳文を添付しなければならない)で、その国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払を必要の都度行ったことを明らかにするものをいいます。
(1) 金融機関の書類又はその写しで、その金融機関が行う為替取引により、納税者から、国外居住親族に支払をしたことを明らかにする書類(送金関係書類など)
(2) いわゆるクレジットカード発行会社の書類又はその写しで、クレジットカード発行会社が交付したカードを提示してその国外居住親族が商品等を購入したこと、及びその商品等の購入等の代金に相当する額を納税者から受領したことを明らかにする書類(クレジットカード利用明細書など)
3.金融所得課税の一体化について
これまで公社債等については、利子・譲渡・償還によって課税の仕組みが異なっていましたが、税負担に左右されずに金融商品を選択できるよう、異なる税率等の課税方式の均等化を進める観点から、株式等の課税方式と同一化することとされました。また、特定公社債等の利子および譲渡損益並びに上場株式等の金融商品間の損益通算範囲を拡大し、3年間の繰越控除ができることとされました。
(1)公社債の課税方式の変更
公社債については、特定公社債と一般公社債等に区分した上で、下表のとおり課税方式が変更されます。
税率 | ||||
現行 ~平成27年12月31日 |
改正後 平成28年1月1日~ |
|||
内容 | 所得区分 | 公社債等 | 特定公社債等 | 一般公社債等 |
利息 利子 |
利子所得 | 源泉分離課税(申告不要) 税率:20%(所得税15%、市民税・県民税5%) |
申告分離課税 税率:20%(所得税15%、市民税・県民税5%) 注:申告不要とした場合、譲渡損失との損益通算はできません。 |
源泉分離課税(申告不可) 税率:20%(所得税15%、市民税・県民税5%) |
売却益 譲渡損益 |
譲渡所得 | 非課税 | 譲渡所得として申告分離課税 税率:20%(所得税15%、市民税・県民税5%) 注:源泉徴収あり特定口座は申告不要 注:確定申告により3年間損失の繰越控除が可能 |
譲渡所得として申告分離課税 税率:20%(所得税15%、市民税・県民税5%) |
償還差益 | 雑所得 | 総合課税 税率:所得税5~45%超過累進税率、市民税・県民税10% 注:割引債は発行時18%の源泉分離課税(所得税18%、市民税・県民税非課税) |
(注意1)所得税においては、平成25年から平成49年までの間に生じる所得について、確定申告や源泉徴収の際には、表中の税率とは別に2.1%の復興特別所得税が課されます。
(注意2)平成28年1月1日から特定公社債等についても、特定口座で計算される所得の対象として受入れることができることとされました。
(注意3)平成28年1月1日以降、特定公社債等の利子等については、利子割の課税対象から除外した上で、配当割の課税対象とされます。
(注意4)源泉徴収選択特定口座内の特定公社債等の譲渡所得として申告した場合、株式等譲渡所得割の課税対象となります。
(2)損益通算・繰越控除・分離課税制度の改組
従来可能であった「上場株式等」と「一般株式等(未上場株式等)」の間での損益通算ができなくなります。平成28年1月からは、次の1と2の区分による別々の分離課税制度に改組されます。
分離課税制度の改組 | |||
区分 | 各区分内の損益通算 | 各区分内の繰越控除 | |
1 | 特定公社債及び上場株式等に係る譲渡所得等の分離課税(申告分離課税を選択された上場株式等の配当所得との損益通算も可能) | できる | できる |
2 | 一般公社債等及び一般株式等(未上場株式等)に係る譲渡所得等の分離課税 | できる | できない |
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